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浴槽通信
2025年9月26日
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  鋳物ホーロー浴槽が生まれる物語

広島県安芸高田市・吉田工場。 ここでは、熟練の職人たちが、鉄と日々真剣に向き合いながら仕事に取り組んでいます。

彼らの手の中で、一つの鋳物ホーロー浴槽が形になるまでには、いくつもの工程と確かな技術、そして、熱い情熱が詰まっています。 鋳物ホーロー浴槽は、丈夫な鋳物を成型する「鋳造」と、美しい光沢を纏わせる「焼成」の二つの大きな工程によって完成されます。

鋳造工程

1. 溶解

約1500℃の高温で、鉄が赤く燃えながら液体へと変わる瞬間。 鋳鉄づくりは、鉄にカーボンやシリコンなどの副原料を加えたところから始まります。 鉄ではなく鋳鉄を選ぶ理由は、その優れた鋳造性にあります。複雑な形状にも均一に流れ込み、なめらかな曲線や繊細な造形まで美しく再現できるため、浴槽にとって理想的な材質と言えるのです。

2. フィルム成形

浴槽の模型に、厚さ0.1mmの極薄フィルムを密着させ、繊細な形状をかたちづくります。美しいラインを描き出すための、欠かせない工程です。

3. 造型

造形枠の中に砂を充填し、空気を抜いて真空状態に。 砂をしっかり固めて鋳型を作る工程は、浴槽の“骨組み”づくりとも言えます。

4. 鋳込み

液状となった鉄が鋳型の中へ。 次第に、浴槽の形がゆっくりと現れていきます。

5. 冷却・型ばらし

十分に冷却された鋳物を型から取り出すと、初めて「浴槽」の姿が現れます。

6. ショットブラスト処理

浴槽の表面に鉄球を打ちつけて不純物を除去。 この処理はホーローとの密着性も高め、次の工程の下地づくりでもあります。

焼成工程

7. 下引き釉薬吹き付け

粉砕した釉薬(下薬)を浴槽表面へ。 スプレーガンで吹き付けた厚さ0.1mmの釉薬が、素地とホーローをつなぐ大切な役割を担います。

8. 釉薬振りかけ

真っ赤に焼けた鋳物に、職人たちが手作業でパウダー状の釉薬(上薬)を振りかけます。 この工程を数回繰り返すことで、ホーローの厚みは約1mmに達します。 浴槽が、輝きと美しさを手に入れる瞬間です。

9. 焼成

焼成炉の中で、釉薬と鋳物が一体となる。 その姿は、炎の中で誕生する工芸品のようです。

10. 保温材吹き付け

鋳物浴槽の裏側には保温材をまんべんなく吹き付けます。この処理により、お湯の温かさが長持ちし、快適なバスタイムが生まれます。

>>保温材「発泡ウレタン」が持つ力

11. 最終製品検査

職人の厳しい目による最終チェック。 品質が守られていることを一つ一つ丁寧に確認していきます。

12. 梱包・出荷

浴槽は木枠で丁寧に包まれ、全国のお客様のもとへ。 職人の技と想いを乗せて、次の暮らしの場へと旅立ちます。

この工程のすべてに、妥協なき技術と想いがあります。

ぜひ、工場見学でその息づかいをご体感ください。