2024.04.23
鋳物ホーローは、釉薬(粉)を母材(鋳鉄)に振りかけながら焼成する乾式ホーロー加工という加工方法で、母材の肉厚が約5mmで厚いという特徴があります。乾式ホーロー加工は、砂でできた型から成型した浴槽本体を約1,000℃の焼成炉に入れ、浴槽本体の温度を約900℃にしてから焼成炉から出し、釉薬を浴槽本体に振りかけて、浴槽本体の熱で釉薬を溶かしてホーロー加工を行います。このホーロー工程を3回繰り返すことにより、ホーロー層は3層のガラス層で形成され、厚みは約1㎜になります。3回に分けて釉薬をかけることにより、厚みによる光沢感、深み、透明感、重厚感、耐久性が向上します。対して鋼板ホーローは、釉薬(液体)を鋼板の表面にスプレーで吹き付けて焼成する湿式ホーロー加工という加工方法で、母材の肉厚が2mmで薄いという特徴があります。湿式ホーロー加工は、スプレーガンを用いて鋼板に釉薬を吹き付け、約850度の焼成炉で焼き付けていきます。ホーロー層の厚みは約0.2㎜となります。鋳物ホーロー浴槽と鋼板ホーロー浴槽は、同じホーロー製品のため表面の硬度はあまり変わりません。しかし、鋳物ホーロー浴槽は、高温で焼きつけられた3層ある約1㎜のホーロー仕上げなのに対して、鋼板ホーロー浴槽はホーロー層の厚みは約0.2㎜です。鋳物ホーローは、鋼板ホーローでは表現できない滑らかさと、深みのある上品な美しさがあります。本体は厚みのある鋳鉄製となっていますので、優れた入浴感と体だけではなく心も癒します。