お風呂で元気を取り戻すための3つのヒント
お湯の温度、お湯の水位、浸かる時間が重要です
日本人の約8割が毎日浴槽に浸かっている、という調査報告があります。
しかし、特に若い世代ではシャワーだけで済ませる人も増えており、「風呂キャンセル界隈」という言葉がトレンドとなることもありました。
シャワーだけでは得られない入浴の持つ疲労回復効果。
その秘訣を入浴指導士・石川さんに詳しく伺いました。
「入浴指導士の石川です。再び登場させていただきます!
今回は、疲労回復の効率をぐっと引き上げる入浴法をお届けします。 読んでいただければ、きっとすぐに試してみたくなるはずですよ。」

人が「疲れる」メカニズム
そもそも疲労はなぜ起こるのでしょうか?
諸説ありますが、原因のひとつに「老廃物の蓄積」が挙げられます。
身体の細胞が酸素や栄養分を利用する過程で、二酸化炭素や乳酸といった老廃物が発生します。
この老廃物が蓄積することで細胞の機能が低下し、結果として「疲労」を引き起こします。
つまり、老廃物を回収すると同時に、酸素と栄養分を補給する血液循環を促進することこそが、疲労回復において重要なメカニズムとなります。
疲労回復の効率を上げる入浴法
このことを念頭に置き、実際にはどのような入浴法であれば、安全に、効果的に疲労回復を行なえるのかをご紹介します。
●大前提は「湯船に浸かる」
湯船に浸かることで身体は①温熱効果、②浮力効果、③静水圧効果などの恩恵を受けます。これらの効果により、体温がしっかりと上昇し、血流が促進されることで、身体全体の代謝が進みます。さらに自律神経を整えることで、心身全体の疲労回復に繋がるのです。
特に②と③はシャワーでは補いきれない、湯船に浸かることで得られるスペシャルな効果です。
これらの疲労回復効果を最大化する入浴法として、下記の3つのポイントがあります。

●お湯の温度
40℃前後が適切です。この湯温は大半の人にとって”熱い”という刺激が少ないため、副交感神経優位になりやすく、血圧と脈拍を下げ、リラックスした状態を作り出します。
一方で42℃以上の熱いお湯は、交感神経優位になりやすく、身体全体を緊張させ、血圧が上昇傾向になることで、身体が「闘争モード」に入ってしまい、逆効果となることがあります。

●お湯の水位
さらに、お湯の水位にも気を配ることが重要です。肩まで浸かる全身浴を行うことで、全身への「静水圧作用」の効果が高まります。
この作用により、静脈血の還流が促進され、老廃物の代謝がスムーズになるほか、浴槽から出た時に血管が解放されることによって生じる「マッサージ効果」による血流改善が期待されます。

●お湯に浸かる時間
最後に、お湯に浸かる時間にも注意が必要です。40℃前後のお湯に10~15分ほど浸かることで、深部体温が約1℃上昇します。
体温が正常値より低いと基礎代謝や免疫機能が低下するため、体温を適切に保つことは疲労回復に欠かせません。
●入浴後
入浴後は、身体が冷える前に素早くタオルで拭き取ることが大切です。その後、気温の状態によっては、毛布や布団に包まって横になって安静を保つことで、体温を適切に維持できます。
入浴後の過ごし方により、入浴の疲労回復効果をさらに高めることができます。

最近、疲れがなかなか取れないと感じている方は、上記を頭に置きながら、ゆったりと湯船に浸かる時間を増やしてみてください。
きっと心も体もほぐれて、少しずつ軽くなる感覚を味わえるはずです。
あなたの日々が少しでも楽になり、温かなひとときが届きますように。
【お話を伺った石川さんのプロフィール】
2008年に大和重工㈱入社後、住宅機器営業部にてホテル向けの営業を展開。ホテルの特長にあったカスタムメイド浴槽の開発に携わっている。営業での豊富な経験を活かし、健康促進やリラクゼーションに寄与する入浴文化を育むことをポリシーに、2024年 日本入浴協会認定 入浴指導士取得。