風邪でもお風呂に入れる?入浴のメリットと注意点

風邪をひいたとき、お風呂はどうされていますか?一昔前は入浴を控えることが一般的でしたが、最近では入浴しても問題なし、という意見もよく聞かれます。
そんな風邪と入浴に関する「永遠のテーマ」について、入浴指導士・石川さんに伺いました。
「入浴指導士の石川です。もうおなじみになりましたでしょうか?
今回は、風邪の時の入浴について、
①そう言われるようになった歴史的背景
②入浴がもたらす風邪への効能
③風邪でも入浴できる条件、
をご説明させていただきます。 これを読んだら周りの方々にもシェアしたくなりますよ。

なぜ昔は入浴を控えるのが一般的だったのか?
それは、住宅事情の歴史的な変化が関係していると考えられます。一般家庭にお風呂設備が本格的に普及してきたのは、1960年代。それまでは銭湯通い(特に都市部)が普通で、入浴後は外を歩いて帰宅するので、夏ならまだしも、冬には湯冷めすることもありました。あるいは、お風呂設備が増え始めても、住宅内の空調や断熱事情が現在ほど良くなく、家庭においても湯冷めしやすい環境があったと考えられます。湯冷めは、風邪を誘発・悪化させる原因になりますからね。これらのことから「風邪の時はお風呂を控える」というのが一般的になったと考えられます。
それなら入浴はOK?
現在は家庭にお風呂があるのが当たり前になって、空調や断熱など住宅事情も以前より格段に良くなっています。お風呂に入っても湯冷めをする心配が減っています。
海外では毎日入浴する文化は一般的ではありませんが、実は風邪を理由にシャワーやお風呂を避けるという考え方もあまりありません。「風邪の時にはお風呂は厳禁」は、昔から日本だけのものだったのです。

風邪にお風呂は効果的な側面も
風邪は、喉や鼻の粘膜から始まる疾患です。喉や鼻の粘膜には、通常の状態であれば、繊毛と粘液が外部からの異物や刺激から守る為に働いていますが、乾燥状態になるとその機能が弱まります。
お風呂に入ると、浴室内の蒸気が粘膜の乾燥を防ぎ、さらに入浴剤やアロマオイルなどで香りを加えれば、粘膜の機能を向上させることが期待できます。さらに、温熱や静水圧の効果で血流が上がり、身体全体の免疫と回復機能が活性化します。よって、お風呂に入ることは、むしろ風邪対策として、プラスに働く面が多いと考えられます。

風邪時の入浴における注意事項
風邪に効果的と考えられる入浴ですが、下記について注意が必要です。
① 長湯や高温湯などで身体に負担が掛からないようにする
② 湯上り後は湯冷めをしないよう、すぐに休む
③ 湯上り後は失われた水分を補足する(喉の粘膜が乾燥したら元も子も無い為)
④ 入浴によって亢進する症状(炎症など)を並行する場合は注意する
⑤ その他、体調と良く相談して、無理をしないこと
なお、鋳鉄製の鋳物ホーロー浴槽は浴槽自体が蓄熱するため、お湯と浴槽の両方から温浴効果が得られ、湯冷めしにくいという特長があります。詳細についてご興味がある方は、下記をご覧いただけますと幸いです。

【お話を伺った石川さんのプロフィール】
2008年に大和重工㈱入社後、住宅機器営業部にてホテル向けの営業を展開。ホテルの特長にあったカスタムメイド浴槽の開発に携わっている。営業での豊富な経験を活かし、健康促進やリラクゼーションに寄与する入浴文化を育むことをポリシーに、2024年 日本入浴協会認定 入浴指導士取得。
※補助監修 古谷暢基(医学博士、日本入浴協会理事)