なぜ鋳物ホーロー浴槽の保温性は高いの?
高い熱伝導で浴槽全体が温かい状態を保てるから
鋳鉄や鋼板の表面にガラス質を高温で焼きつけてできたホーロー浴槽は、世界中の高級ホテルでも使われています。
当コラムでは、なぜ鋳物ホーロー浴槽の保温性が高いのかについてご紹介します。
①清潔さについて
アクリルやFRPの浴槽は樹脂を材料として製造されます。一方の鋳物ホーロー浴槽は鋳鉄の表面に、ガラス質の粉末を熱で溶融させてコーティングされています。鋳物ホーロー浴槽の表層は一般的な浴槽の表層と比べて、凹凸がありません。そのため、表面の滑らかさが均一であり、美しい輝きを持ちます。さらにガラス質で覆われているため、表面に汚れが付きづらく、簡単なお手入れでも浴槽内をきれいな状態に保つことが可能です。
②保温性について
鋳物ホーロー浴槽は熱伝導率が高い鋳鉄でできており、浴槽自体がお湯の熱を蓄えます。さらに保温材が熱を閉じ込めるので、浴槽自体が温まります。浴槽の縁までお湯の温度が伝わりやすく、身体の芯まで心地よく温まり、またその熱が冷めにくいため、格別の入浴体験をお楽しみいただけます。
③耐久性について
アクリルやFRPの浴槽は、鋳物ホーロー浴槽より傷がつきやすいというデメリットがあります。一方の鋳物ホーロー浴槽は、基礎となる素材に金属が使用されているため、他の素材の浴槽よりも耐久性に優れています。また表面を覆うホーローも耐久性に優れているため、傷がつきにくく、長くその美しさを保つことができます。また、変色・変質することや浴槽本体が変形することがないのも、鋳物ホーロー浴槽ならではの特徴です。
鋳物ホーロー浴槽の蓄熱性が高い理由とは?
鋳物ホーロー浴槽の蓄熱性が高い理由は、材質が熱伝導率の高い鋳鉄だからですが、もう少し具体的にご説明します。まずは、浴槽に使われる材料の熱伝導率をまとめた右記の表をご覧ください。
材質 | 熱伝導率〔W/mk〕 |
---|---|
鋳鉄 | 42.8 |
ステンレス | 16 |
アクリル樹脂 | 0.21 |
FRP | 5.8 |
鋳物ホーロー浴槽の母材の「鋳鉄」は、浴槽素材でよく使用されているステンレスやFRP、アクリル樹脂よりも高い熱伝導率を誇ります。
では、どれほど温度降下がないのかについては右記のグラフをご覧ください。
40℃のお湯を入れた状態での、浴槽の縁の温度変化を測定しました。ステンレスや人造大理石などの他材質と比較したところ、お湯を入れて20分後には約3℃以上も鋳物ホーロー浴槽が温かいことが分かりました。また、給湯後2時間を経過しても保温材のある環境ではわずかに2.2℃しか水温が下がりません。高い熱伝導によって浴槽全体がいつまでも温かい状態を保てることで、至福の入浴感が得られるのです。